2016 関西合同三田会 in 大阪

 2016年の関西合同三田会大会は第40回の記念大会として大阪慶應倶楽部が開催担当となり、2016年(平成28年)9月24日(土曜日) シェラトン都ホテル大阪にて開催された。
 記念式典は午前11時より大和の間にて開催される。塾歌斉唱のあと錢高一善関西合同三田会会長・大阪慶應倶楽部会長の挨拶、清家 篤塾長、比企 能樹慶應連合三田会会長より祝辞が述べられる。
 この日、参加したのは、関西各地域から会員及びその家族など400人を越す人たちである。慶友三田会からは20名を越す人たちが参加している。
 やがて「関西に於ける福澤諭吉先生門下生の活躍の足跡」と題して、清家篤塾長、讀賣新聞特別編集委員の橋本五郎氏、女優の紺野美沙子氏によるパネルディスカッションが始まる。司会(コーディネーター)は慶應義塾福澤研究センター准教授の都倉武之氏である。それぞれが関西との関わりについて述べられる。

清家篤塾長祝辞

清家篤塾長祝辞

パネルディスカッション 司会 都倉武之氏

パネルディスカッション 司会 都倉武之氏

 清家塾長は、私は京都生まれです。京都大学病院での誕生ゆえ、生まれながらの京大出身だとにこやかな表情でユーモアたっぷりに自己紹介された。
 橋本五郎氏は「私は関西が嫌いだった。」と話し始める。それは慶應入学当初、大阪府岸和田出身の友人から東北・秋田をよく言われなかった。更に地元でない東京の野球場まで来て振舞う阪神タイガースのファンたちの応援態度にいささか気分を害していたらしい口吻だった。ただ、最近は仕事の関係で関西に来ることが多くなり、印象が好転した。少し遅かったかなと漏らされていた。
 紺野美沙子さんはNHKの朝ドラ『虹を織る』のオーディションを受けに来たが、連日の練習や試合のために声を涸らしていた。そのため多分ダメだろうと思って、せめて花見見物でもと大阪城公園の満開の櫻を見て帰った。帰宅したところ「合格」の通知をもらった。多分、慶應の学生で女優志願が珍しかったのだろうと思う、と述懐されていた。
 関西の気風というか、関西人の特質についての話になった。大阪人はケチだ、と言われている。本当にそうだろうか。しかし、出すべき時には思い切って出すのが大阪人ではないか。その例として公会堂や淀屋橋が挙げられていた。
 その通りである。中之島の中央公会堂や東洋陶磁美術館などは民間人の寄付である。更に江戸期に造られた淀屋橋をはじめとする数々の橋梁も公儀の橋ではなく、町人たちが架けたものだった。大阪外国語大学(現在は大阪大学の一部となっている)も元は大阪の民間人の女性が創立しているものだ。
 ご出席のパネラーから、大阪人(関西人)は無駄なお金は使わずに、ここという時に思い切って身銭を切るという気っ風の良さがあることを的確に捉えられていたことに敬意を表したい。
 慶應義塾では、塾員からの寄付によって奨学金制度が運用されている。これはたいへん意義のある事柄であり、今後も継続されていくだろう。
 寄付金をめぐる議論のなかで慶應義塾の雑誌には、寄付金額の多寡により掲載順が決められている。これについて橋本五郎氏からは、寄付金の多い順番ではなく、寄付金を早くした順番にしてはどうかと提言されていた。
 次に大阪出身の塩川正十郎さんのことが話題にのぼった。先年、逝去された。塩川さんは政界を引退されたあともいろいろな役職を引き受けられていたが、殆どは無報酬だった。東洋大学の総長も報酬は受け取られず、亡くなられる少し前に報酬相当額を基に「塩川正十郎奨学金」を創設されて、東洋大学で国際交流、外国人留学生の育成のために使うようにされていた。因みに塩川正十郎さんは、慶友三田会にご入会下さり、本会の名誉顧問になって頂いていた。
 福澤諭吉誕生地記念碑の形のことが話題にのぼりました。ご承知のように現在、大阪の玉江橋のたもとの一郭にあります。鳥の羽を広げたような形をしていますが、後ろ向きに建てられています。どんな鳥か。正解は鳩です。しかも鳩の頭は裏側で表からは見ることができない。なぜ、裏側にしているのか ?これは当初の敷地が大阪大学附属病院の敷地にあった。入院患者の方から見てお墓のように見えるのは具合が悪い。それで鳩の形にした。さらに背を向けるのでは申し訳ない。それで頭は病院の方を向くように作られた。かくして現在の形になったといわれる。この一郭は今はABC放送の敷地となっている。

役員

役員

清家塾長 橋本五郎氏 紺野美沙子氏

清家塾長 橋本五郎氏 紺野美沙子氏

 午後1時から浪速の間に移動して、懇親会が始まる。来賓席は舞台の近くに丸いテーブル三つあり塾長ほか関西合同三田会加盟の各会長などが座っている。
 また、それぞれの三田会ごとにテーブルが決められていて、慶友三田会には二つのテーブルが充てられていた。久し振りに会うメンバーもいる。東京の方から本間利雄氏、徳島から富田欽二氏も参加されていた。
 広い部屋の一郭に大阪の味の屋台が出ている。大阪アメリカ村甲賀流のたこ焼き、「千房」のお好み焼・やきそば、道頓堀「今井」のうどん、新世界「だるま」の串カツなどである。寿司ほかもバイキング形式で食べられた。
 ビール、日本酒、ワインなどが次々に運ばれてくる。下戸は、専らウーロン茶である。中には、アルコール0%のビールを頼む人もいる。
 やがてアトラクションのSO.ON projectというグループによる歌唱とダンスが始まる。グループ名は、大阪・スクール・オブ・ミュージュック専門学校の総合音楽科、その略称の「総音」から来ているらしい。2015年ミラノ国際博覧会(万博)出演を果たしている。なかなか元気な若い女性たちの歌と踊りだった。
 続いて「福引抽選会」が始まる。高級ホテル宿泊券、同ディナーご招待券、高級羽毛蒲団、豪華果物セツトほかの景品が提供されている。入場券に記された番号が抽選で当たるか否かというのは、慶應連合三田会の方式と同じである。
 余興で会場は大いに盛り上がっていた。旧友との再会やいつものお仲間との楽しい団欒のひとときは、あっという間に過ぎる。
 最後は恒例の「若き血」を大きな輪になって合唱する。大きな部屋いっぱいに全員が肩を組み、この応援歌を歌う。この合唱のときに多くの人は、よくぞ慶應に学んだと実感する。全員がお土産を頂いて、お開きとなった。

SO.ON project

SO.ON project

若き血合唱

若き血合唱